PIEMONTE - ピエモンテ -
- トリノの南西郊外にあるストゥピニージ宮-サヴォイア家が狩猟に使った
- アルバでも珍しい巨大白トリュフ
- ラ・モッラのチェレキオ葡萄園
- 夕映えにかすむセッラルンガ・ダルバの丘陵
イタリア北西部、アルプスの麓(ふもと)に位置し、その名もピエ=足、モンテ=山。ワイン生産に極めて優れた気候と地質、葡萄品種を持ち、バローロやバルバレスコといった銘醸ワインを始めとする7つの”国の保障付きワイン”バルベーラをはじめとする49の”原産地呼称ワイン”は、近代的生産システムの向上が著しく、進化を続ける品質は一層偉大さを増し、世界で唯一ブルゴーニュを嫉妬させる存在です。
料理は野菜と肉が中心で、魚介類は少なく、甲殻類はカタツムリやザリガニ程度です。
秋から冬にかけてはピエモンテ料理が最も華やかに賑わう時季。季節の産物を巧みに取り入れ、手が込んで洗練されています。畑ではカルドゴッボを始めとする伝統的な野菜達、山からはカッチャジョーネ(狩猟野生鳥獣類)、数え切れぬほど多彩で興味深いチーズ、香り高い野生茸、そして何よりも世界中の料理人と食いしん坊達を狂わせる、イタリアの一部の地域でしか採取されない「タルトゥフォ・ビアンコ(白トリュフ)」がお目見えします。
豊富なバリエーションの各種前菜、コクのある手作りパスタ・ズッパ(スープ)・リゾット、こってりと艶やかな煮込み料理やダイナミックなロースト肉など、力強く洗練されたピエモンテの赤ワインが無くてはならない存在でしょう。
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file No.02001: リストランテ ヴォルピーナ(Ristorante Volpina)
フィレンツェの友人、エンリカに教えてもらった、ピエモンテ州のオヴァーダ郊外にあるリストランテ「ヴォルピーナ」。
日本人だからといって必ずしも日本料理に精通していないのと同じように、イタリア人だからといって、誰もがイタリア料理に精通しているわけではない。
エンリカと彼女のパパは食べ歩きが趣味の1つ。たまたま通りすがりに入ったこの店が大当たりで、それ以来お気に入りだそうだ。ぜひ行った方がいいとお薦めされやって来た。
因みにこの時点でイタリアのグルメガイドに出ていない店。このクラスの内容にしては珍しい事。
file No.02002: ブラのフェスタ「中庭から中庭へ」(La Festa DA CORTILE A CORTILE a Bra)
日本でも有名になったピエモンテ州、ブラのスローフード協会。ブラの町とスローフード協会が共催するフェスタ、「ダ・コルティーレ・ア・コルティーレ(中庭から中庭へ)」。 町の人が一体となって郷土料理と地ワインを用意し、参加者はオリエンテーリングの要領で行動する。1番目の中庭で食前酒を飲み前菜を食べると、次の中庭へ移動しパスタを食べる、といった具合に次々歩き進む。中庭と中庭は徒歩5分から10分くらいあり、その間には出店(でみせ)などがあったり、広場で催し物があったり、 カラブリアから招待されて来たという、民族舞踊のダンサー達と遭遇して、しばし歓談したりとなかなか楽しい。
町を挙げて外来の客を迎えるフェスタは大掛かりだが、手慣れた様子で駐車場、清掃、料理の用意など段取よく進行していた。よそ者はただ眺めることしか出来ない東京の祭りに比べ、非常にオープンな感じが気持ちよく、町そのものの良い印象が残る。参加費は1人20ユーロ。
file No.02003: イヴレアの友人(Un Caro Amico d’Ivrea)
まだパソコンが無かった頃、活字の文書はタイプライターで打つものだった。そのタイプライター生産で一時代を築いたメーカーのオリヴェッティ。北ピエモンテのイヴレアはオリヴェッティの城下町として栄え世界に名を馳せた。オレンジ戦争のフェスタでも有名で、この日街は真っ赤なオレンジで染まり負傷者もでる。
イヴレアから少し北に行った小さな町、ボルゴ・フランコ・ディ・イヴレアの友人オスカル達とは、トスカーナのアグリトゥーリズモ「イル・リーゴ」で出会った。イタリア人はフレンドリーと良く言われるが、親しく接してくれる人ほど人の話を聞かない、というのも一つの特徴ではないかと感じることがある。北イタリアの人々に接し印象的だったのは、フレンドリーさの中に、日本でも通じるような気配りがあることだった。
オスカルは近くの会社に勤務しているが、家業は代々農家でワインも生産している。古い母屋は大きな3階建ての作りで、内部はきれいに改装されあこがれてしまうような部屋である。1階にはオスカルの両親が住み、2階は妻ラウラの両親、3階は自分達が住むという3世帯住宅だ。
file No.02004: エルバルーチェ(Erbaluce)
イヴレアの友人、オスカルの妻ラウラの叔父さんと叔母さん夫婦が細々と作るデザートワイン「エルバルーチェ」。イヴレアの隣町カルーゾの小さな農家で、今は出荷する程の量は作らず自家用にほんの少しだけを作る。
地下のセラーには1940年以前のパッシート(陰干し葡萄で作った芳醇な甘口ワイン)が今も熟成し続けている。木樽は使わず瓶熟成のみ。熟した黄桃のような香りと、舌に滑らかな甘みが心地よい。エチケッタ(ラベル)は叔父さんのデザインで毎年変わる。
このエルバルーチェという葡萄は、この地域だけに残る土着の品種で、通常辛口のワインが作られている。しかし以前は作られていた甘口のパッシートが、今日ではほとんど見かけなくなってきているようだ。貴重なワインを作る後継者が少なくなってきて、惜しいことに絶滅の危惧がある。
file No.02005: 北ピエモンテ(Nord Piemonte)
ピエモンテは「山の足」という意味。
山とはアルプスでその麓にあるところからそう呼ぶ。
中南イタリアに比べ、山の大きさや角度が格段に違い、天から覆いかぶさってくるような迫力で聳え立ち圧巻である。
これらの写真はヴァッレ・ダオスタとの州境付近の険しい景色。
file No.02006: リストランテ アル・ソッリーゾ(Ristorante Al Sorriso)
北ピエモンテ、オルタ湖から南へ行った片田舎、ソリーゾにある超高級リストランテ「アル・ソッリーゾ」。
イタリア語で「微笑みで」と言う意味のこの店は、内外の権威あるガイドブックで高く評価され、世界中から来客があり常に満席の大繁盛店。
ゴージャスなテーブルセッティングに、洗練の極みを盛り付けた美しく美味しい料理。
地元ピエモンテの素晴らしいワインを中心に、有名銘柄を集めたワインリスト。
file No.02007: イヴレアの朝市(Al Mercato ad Ivrea)
イタリアにはどこの街へ行っても朝市がある。今までにも旅先ではよく朝市をのぞいて歩いた。
しかしイヴレアの朝市は今までに見たことも無いほどの規模で驚いた。
端から端まで立ち止まらずに、ざっと見て廻るだけでも1時間半はかかる。
結局3時間は見たが全部はまわりきれなかった。全て個人の生産者や商店だ。
file No.02008: バルバレスコ(Barbaresco)
北イタリア、ピエモンテ州のバルバレスコは、世界屈指の高品質ワインの生産地。
よく比較されるバローロとバルバレスコは兄弟と言えるかもしれない。筋肉質で、エレガントな兄のバルバレスコと、兄よりやや体が大きく、力持ちな弟のバローロといったらいいだろうか。
一口にバローロ、バルバレスコと言っても、生産者によって品質や個性に大きな違いが出てくる。もちろん価格にも。
既にブランドが出来上がっているので、掘り出し物を探すのは難しいが、ワイン好きな地元のオステリア(ワイン食堂)に行けば、時として ヴィンテージものの中から、安く仕入れた当時の価格のままワインリストに載っているという 幸運もある。
file No.02009: リストランテ グイド (カスティリオーネ・ダスティ)(Ristorante Guido, Castiglione d’Asti)
ピエモンテのカスティリオーネ・ダスティには、イタリア料理とワインの勉強をしたい若い外国人の為のI.C.I.F.料理学校がある。
イタリアの正しい食文化普及に役立つため、国からの補助がでており、生徒は優れた内容の授業を割安な学費で受講できる。
その後はイタリア各地にある優秀な料理店へ食・住付きで研修(ただ働き)に出かける。
関連無いが、そのI.C.I.F.が居を構えるカステッロ(城)から歩いて5分のところのある「リストランテ・グイド」は、真の伝統的ピエモンテ料理が供されるリストランテ。
伝統料理をウリにする高級リストランテは稀。
内装は高度経済成長期に作られた趣で古く、東京の老舗有名ホテルを思わせるものがある。
料理はいずれも丁寧で繊細。サービスも優しく礼儀正しい。
ワインリストはオールド・ヴィンテージも充実している上に安く魅力的だ。
file No.02010: リストランテ ベッキオ・トレ・ステッレ 1(Ristorante Vecchio Tre Stelle vol.1)
ピエモンテのバルバレスコから車で10分程行った小さな小さな集落「トレ・ステッレ」。
僅かな住宅の他はリストランテ付きの小さなアルベルゴ(ホテル)「ヴェッキオ・トレ・ステッレ」と葡萄畑しかない。
このアルベルゴのリストランテが素晴らしかった。
店内は品良くシンプルにまとまり、ユーモアあふれる支配人ダニエレ・スカイオーラが、食卓に笑いを添えながら、プロの接客で楽しませてくれる。
自慢せず、偉ぶらず、どの客にも変わりなく親切な笑顔の対応。簡単なようでなかなか出来る事ではない。
料理のレヴェルは有名高級店のような華美さは無いが味は十二分、接客は滅多に出会えないほど最高。
価格は出来の良いオステリア(ワイン食堂)よりちょっと高めだが、有名高級店の1/3~1/4位と良心的。
file No.02011: アルバのタルトゥフォ祭り(Festa dei Tartuffi ad Alba)
ピエモンテ州のアルバでは、毎年秋の週末になるとタルトゥフォ祭りが開催され、多くの客がタルトゥフォ・ビアンコの香りに惹かれてやって来る。
タルトゥフォのメルカートでは20人ばかりの採掘者と直談判しながら、値引き交渉して気に入ったタルトゥフォを買っていく。
2002年は雨が多く、タルトゥフォにはいい季節だったと聞いた。価格は例年より安いが季節内でも株のように変動する。
この日の提示価格は100g/180ユーロだった。しかし黒タルトゥフォはぐっと安く100g/26ユーロ。
file No.02012: アルバの焼き栗(Le Castagne Arroste di Alba)
秋冬になるとイタリアの町角には焼き栗売りが露店を出す。
焼き栗売りはイタリアの各地に見られるが、ピエモンテの焼き栗は表面が白く、
一見蝋粉をまとった黒葡萄のようにも見える。
file No.02013: オステリア デッラ ローザ・ロッサ 1(Osteria della Rosa Rossa vol.1)
ピエモンテ州クーネオ県の高台にある小さな町ケラスコ。
目抜き通りを車で走ると5分で町が終わってしまう。
オステリア・デッラ・ローザ・ロッサはケラスコにある優良なワイン食堂。
シェフのマルコは、ケラスコに古くからあるリチェッタ(レシピ)を、情熱を持ってそのままに守っている。
ワインの造詣にも深く、セラーにあるピエモンテワインのコレクションには、掘り出し物がちらほらと見える。
常に笑顔で背筋を伸ばし、シェフ自ら料理の説明をしに各テーブルを周る姿はとても感じがいい。
旨い料理と保存状態の良いワインは、共に良心的な価格で供され、客はこの店に気軽な日常の楽しみを見出せるだろう。
ケラスコの郷土料理と、取って置きのバローロ(89年のカヴァロット・リゼルヴァ)に歓喜した晩だった。
file No.02015: ラ・モッラ(La Morra)
イタリアを代表する偉大なワイン、バローロを生産する5つの地域の内、もっとも優雅なバローロを生み出すと言われる丘陵、ラ・モッラ。
朝から6時間かけてBarどころか人気も無い、葡萄園が広がる山の中を延々と歩いてみた。
file No.02016: リストランテ ラ・ペルゴラ 1(Ristorante La Pergola vol.1)
ピエモンテ州のアルバから北へ10kmほど行った小さな村、ヴォルゴヌオーヴォ。
夜間なら村の中心地から3分歩いただけで暗闇になってしまう。
中心地で見つけられる唯一の頼もしそうな灯り(といっても他の地域に比べれば心細い限りだが)がリストランテ・ラ・ペルゴラだ。
ガソリンが少なかったせいもあるが、夜間小さな丘を抜ける真っ暗な道路を運転しながら少々不安を感じた。
この道で合ってんのかな~?この先に人里なんてあるのかな~?などと思わされてしまうほど人はもちろん車も通らない。
杞憂だった心配はさて置き、村に着くとリストランテはすぐに見つかる。
周りが真っ暗なので良く目立つ。
file No.02017: リストランテ ラ・ペルゴラ 2(Ristorante La Pergola vol.2)
①②③全てピエモンテ産のチーズ。
日本ではチーズといえばフランスだが、イタリアチーズの品質、バリエーションは極めて素晴らしく、フランスに負けてはいない。
但しフランスのように世界中に輸出できるほどの体制は整うどころか、逆に世界中の人々がイタリアにやって来るので、原料乳すらままならないのが現状のようだ。
おそらくそれはピッツァをはじめ、イタリア中のバルでパニーニに使われ、世界中に輸出もされる「モッツァレッラ」のせいかと思う。
写真のチーズはすべて地元の原料、伝統の製法で作られている。
file No.02018: ロカンダ・モングレーノ(Locanda Mongreno)
トリノ市内の外れ、モングレーノにあるその名も「ロカンダ・モングレーノ」。
ここでは伝統の正反対を歩く変わったシェフが、独自の料理の世界に挑戦し続けている。
オーナーシェフのピエール・ブゼッティは、日本のとあるリストランテから招聘された経験があり、
その当時触れた日本の食文化に大きな刺激を受け、自身の新しい料理に反映させているとの事。
今でも日本で仕事してみたいと意欲を見せていた。
礼儀正しくとても紳士的な人で、意欲のある日本人の若い料理人を是非紹介して欲しいと、今でもメールでやり取りしている。
断っておかねばならないが、イタリア人がイタリアで作った料理ではあっても、イタリア料理とは言えないものも有ると思う。
これはあくまでピエール・ブゼッティ料理である。
その賛否は食べる人が各自決めればいいことだ。寿司はともかくその他の料理はとても美味しいし面白い。
file No.02019: トラットリア デッラ・ポスタ (Trattoria della Posta)
モンフォルテ・ダルバの村から、上下左右にくねくねした真っ暗闇の野を越えようやく辿り着く「サン・タンナ」。
リストランテと呼んだ方が相応しい「トラットリア・デッラ・ポスタ」はそんな田舎の中の田舎にある。
人里離れているにも関わらず、10月のタルトゥフォ・ビアンコの季節のせいか店内は満席。
サービスにあたるのは近所のオバちゃん風。しかし意外にもスノッブでビックリ。
個人的には、都会的なサービスを田舎でやってほしくない。相応しくないし、嬉しくない。バローロ界隈のリストランテは、案外スノッブな店が多い。
ミシュランを意識しているのだろうか?それとも都会に憧れているのだろうか?何れにしても、面白くもなんともない。
file No.02020: セッラルンガ・ダルバ(Serralunga d’Alba)
バローロの生産地の一つ「セッラルンガ・ダルバ」。
最も偉大なバローロを生産すると云われるセッラルンガの丘には、かつてのサルデーニャ国王(サヴォイア家)で後の、初代統一イタリア国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世が所有した「セッラルンガ城(フォンタナ・フレッダ城)」がある。
サヴォイア家が創設した歴史的ワイナリーは、現在でも社名をフォンタナ・フレッダの名のまま、ピエモンテ有数の大手ワイナリーとして世界でも名が知られている。
file No.02021: リストランテ ヴェッキオ・トレ・ステッレ 2(Ristorante Vecchio Tre Stelle vol.2)
ピエモンテの旅から一度はフィレンツェに帰宅したものの、バルバレスコ近くのヴェッキオ・トレ・ステッレにもう一度行きたくて舞い戻った。
ダニエレ・スカイオーラは喜んで出迎えてくれた。
「今日はあなたに会いたくて来ました」と言うと、照れ笑いしながらペコッと会釈し、頭を掻きながら逃げていった。
イタリア・ソムリエ協会の問題点や、かつてボクも出向いたことがあるイタリアの高級料理店の問題点などについて聞くと、ボクが常々感じていたことを同じように熱く語りだした。写真に写ったとおりの純朴で真っ直ぐな人。
フィレンツェに来たことがあるというので、どこが美味しかったか聞くと、「高級店はみな同じようなもので、美味いことは美味いが良心を感じられない。エノテカ・ピンキオーリは値段を見ただけで退散したよ!ハッハッハッハ(笑)」「旨かったのはサンロレンツォ広場のトラットリア・ダ・セルジオだった」と教えてくれた。その店はフィレンツェの友人エンリカお薦めの市場食堂だ。
file No.02022: ボルゴーニョ(Borgogno)
バローロを生産する5つの丘陵の内の一つ、その名もバローロ村。
老舗の「ジャコモ・ボルゴーニョ&フィリ」は伝統的なスタイルで信頼できるバローロを生産する。
近年になり伝統的な生産方法に加え、一部に新しい試みもされはじめた。
今後のボルゴーニョが楽しみだ。新しいタイプのバローロが市場で高値を付け続けるのに対し、ボルゴーニョのそれは無理のない価格に抑えられている。
file No.02023: ラ・ロカンダ・アルピーナ(アルプス旅館)(La Locanda Alpina)
ペシィオのチェルトーザ(カルトゥジオ会の修道院)へ参拝する信者が宿泊するキゥーザ・ディ・ペシィオのサン・バルトロメオは、クーネオから南東へ十数キロ人里を離れた寒村だ。
現在では登山客や本格的な装備のチクリスト(スポーツ・サイクリスト)達も立ち寄る、「俗っぽさを取り除いた鬼怒川温泉郷」のような、水と空気の澄み切った美しいところだ。
道路はこの村の先にあるチェルトーザで行き止まりとなり、これより先は2600m級のアルプス最南端の登山道でフランス側へ行くことも不可能ではない。
山脈の向こうは温暖なリグレ湾。ジェノヴァと変わらぬ緯度にありながら、こちら側は雪国だ。
ラ・ロカンダ・アルピーナ(アルプス旅館)は、この静かな村の秀逸なリストランテ付きホテル。
清潔で必要にして十分な間取りと設備の客室、親切であたたかなもてなし、そして美味しい郷土料理と手頃な地ワインを供する。
さらに、自分が経験した限りイタリアの手頃な食堂付きホテルとして、オフシーズンながら最も対価価値に優れている宿泊代と食事代は、計算間違いしたのではないかと思える相場の半値以下だが、嬉しいことに間違いではない。
観光ではこんなどん詰まりの山奥に用は無いかも知れないが、もし近くを通り過ぎる予定があるのならお勧めの宿と食堂だ。
file No.02024: ロストゥ・デイ・バロッス(L’Ostü dej Baloss)
クーネオから北へ30kmほどに位置するサルッゾ市内にあるロストゥ・デイ・バロッスは「いたずら坊主の食堂」 というピエモンテ語の店名で、食堂とは名乗ってもこじんまりとした品のいいリストランテだ。
メニューの巻頭には料理に使用する食材の仕入先が明記され、スローフード協会が後援する地元の信頼ある生産者の素材を用い、郷土の料理を少々洗練させて供している。
オールドヴィンテージも揃った充実のワインリストは、良心的な価格で品質管理もよく、ピエモンテを中心に全州のワインをそろえる。
サルッゾは整備された中世の街並みを残す清潔感のある小都市で、人々も品があり観光客が殆どいないにも関わらず、中南イタリアの田舎者がよくする、珍しい日本人をじろじろ見るような下品さは微塵もない。
file No.02025: トラットリア デッラ・パーチェ(Trattoria della Pace)
クーネオから9kmの小さな集落フォンタネッレにある「トラットリア・デッラ・パーチェ/平和の食堂」。
file No.02026: オステリア ボッコンディヴィーノ(ブラ)(Osteria Boccondivino, Bra)
スローフード協会の活動ですっかり有名になった町、「ブラ」。
協会本部に隣接するボッコンディヴィーノは、職員も頻繁に出入する協会イチオシのスローフード料理店。
イタリアを訪れる世界中のスローフーダーが、「ピエモンテに行くなら、ブラに。ブラに行くなら、ボッコンディヴィーノに」、と来店を熱望される、「オステリア/トラットリーアのお手本」かのように報道される店。
でもマスコミにより、背景だけが神格化されているんじゃないかな?
実際にはこのクラスの郷土料理店は、うまい食堂だらけのピエモンテには珍しくないと断言する。
ワインも料理もとても良心的な価格でそこそこ美味しく、店内の雰囲気もお洒落なので、ブラに行った際にはここで食事するのもいいと思う。 でもあっちこっちでタバコを吸っているのはどうにもいただけない。
file No.02027: リストランテ デル・カンビオ (トリノ)(Ristorante del Cambio Piazza Carignano, 2)
1757年創業の歴史あるリストランテ。
イタリア統一の立役者カヴールも常連だった。
店内外装は昔のままに保全され、カヴールの指定席で食事することもできる。
近代イタリア上流階級のエレガントで煌びやかな時代を想いながら、歴史美術でよく見る(いつもなら「さわるな」と書いてあるような)椅子に座り浸ってみるのも一興。
料理は取り立てて優れた特性を発揮するほどのものではないが、よく気の効くサービスは好意的で笑顔を常に忘れない。
予算は3皿+デザート・カッフェ、ワイン抜きで80euro。
料理を考えると割高は確かだけど、美術館の入場料込みだと思えば悪くないかも。
単に味と価格だけを求めるならオススメ出来ないが、リストランテの役割はそれだけではないことを、この店の満席が語っているようだ。
file No.02028: オステリア アンティケ・セーレ (トリノ)(Osteria Antiche Sere Via Cenischia, 9)
このところ高級料理が続いていた上に、前日風邪もひき胃が痛む。
アスピリンを飲んで暖かくして寝たら調子いいのでアンティケ・セーレに。
庶民の味が懐かしく、「やっぱ、オレにはこっちが向いてるぜ!」と妙に納得しながら調子に乗って前菜のミストなどをたのんでしまうと、やっぱピエモンテだからいっぱい出てきた。それをペロッと平らげ、続く大麦のズッパが胃に優しく美味い。
しかし、わかっちゃいるけどついたのんじゃうスティンコ。子供の頃に憧れたハジメ人間の骨付き肉塊にガブリっ!男の拳よりデカイ。ちょ~満腹で死にそう。
料理はコテコテの郷土料理。素朴な味もいいし接客も親切で笑顔が溢れている。予算はフツーに食べて25euro位かな(ワイン抜きで)。
ブルロットのバローロは30euro。 トリーノ・チェントロからはちょっと離れているので徒歩では無理。
file No.02029: リストランテ ヴィンテージ1997 (トリノ)(Ristorante Vintage 1997 Piazza Solferino, 16h)
トリノ・チェントロのソルフェリーノ広場にある、「予約の取れない」超人気の高級リストランテ。
料理は基本的にシンプルで、郷土料理をベースにアレンジして洗練させたものと、全くの創作ものとがある。
創意と工夫に溢れ良い素材を駆使している感じがする。
火入れ具合に細心の注意を払い、ロゼ色に調理された肉は、イタリアの郷土料理店ではなかなか見られない。
単品の料理はボリューム満点で、ハッキリ言って普通の日本人なら1人でセコンド一皿を食べられないだろう。
コースは45~75ユーロ、単品で3皿とデザート・カッフェを選ぶと、ワイン抜きで100ユーロ位になる。
イタリアの物価もここまで来たか。もはや「トウキョウハ高いデ~ス!」なんて言わせないゾ!
file No.02030: カッフェ・プラッティ (トリノ)(Caffè Platti)
トリーノ名物チョッコラータは飲むチョコレートでココアではない。
こってりコクがあり喉が渇くくらい。
もう1つはチョッコラータ・エスプレッソ・ミルクフォーム・クリーム等を層にしたヴィチェリンがある。
チョッコラータに比べると若干大人の味わい。
トリノには欠かせないエレガントなカッフェ文化。
file No.02031: アルベルゴ・リストランテ サン・ジョルス (トリノ)(Arbergo Ristorante San Giors Via Borgodora,3)
骨董市が開かれているというので軽くひやかしたついでに、近くのホテル・リストランテ サンジョルスへ立ち寄る。
イタリアの有力グルメガイドには掲載されていないものの、そんなマスコミ不遇の店なんていくらでもある(ウチもか?)ので気にせず突入。
「夜もあることだし(ディナーが)軽くパスタとサラダで済ますかな」、と思い注文したところでアッという間に満席になった。
あちこちのテーブルに運ばれて行く美味そうな前菜のミストがうらやましくなり、「パスタ出ちゃってもいいから、前菜もちょーだい!」と追加する。なんか嬉しい、この素朴な料理たち。
結局タリアータ(カットステーキ)まで食べてしまったものの、ワインとデザートを遠慮したのは飽食の罪悪感からか?
パスタは「生ソーセージとカルチョーフィのランガローリ」と「カステルマーニョチーズのタィオリーニ」。
3皿+飲み物は水とカッフェなら1人20euro位。この店なかなかいいぞ。
信じられないキレイな足したダイナマイトミニで谷間寄せてるおば(ぁ) ちゃん!が、厚化粧してエントランスで待っているのもお楽しみ?! (写真無くてゴメン!こわくて言い出せなかったんだ・・・)
file No.02032: リストランテ ソット・ラ・モーレ (トリノ)(Ristorante Sotto la Mole Via Montebello, 9)
トリノのシンボル「ラ・モーレ」の玄関斜向かいにある、その名も「ソット・ラ・モーレ(ラ・モーレの下の意)」。予約が取りにくい人気リストランテ。
玄関はカギがかかっているので呼び鈴を鳴らす。この日も多くのフリー客がブーブー呼び鈴を鳴らし、断られ帰って行った。
料理は、前菜が「玉葱の詰ものカナヴェーゼ風・チーズフォンデュソース」と「トピナンブールのフラン・バーニャカオーダソース」、プリモが「カルチョーフィと葱のタィヤリン」と「アスティ風・チスラ(ヒヨコ豆と豚皮のズッパ)」、セコンドが「猟師風生ソーセージ」と「ウサギモモ肉のロースト」ですっかり満腹君に。
ワインはまたしてもバローロ(フラテッリ・レヴェッロ)で贅沢気分。
隣のオヤジは、42euro!のシャトーブリアン・ステーキがタリアータ(カットステーキ)で出てきたことに大層ご立腹。
「ステーキは自分で切りながら食うのが粋なんだよぉ!」とシニョーラ(マダム)に文句言うと、「ではうちのコックに言ってまいります」と応え、しばらくしてシェフが登場。軽く謝ってちょっと言い訳してひたすら笑顔笑顔笑顔笑顔。オヤジも何とか機嫌を修正しつつ落着。
予算はワイン抜きで40euroくらい。
お決まりのコースなら3皿+デザートで28.5euro、だいぶお得。でも選べないけど。
味もいいしサービスも親切、それほど高くもないしなかなか優良なリストランテ。
file No.02033: リストランテ トゥレ・ガッリーネ (トリノ)(Ristorante Tre Galline Via Bellezia, 37)
トリノで3世紀も続く老舗リストランテ。
評判も良く、特にワゴンサービスのアッロスティ・ミスティ(ロースト肉の盛り合わせ)や、ボッリート・ミスト・ピエモンテーズィ(ボイル肉の盛り合わせ・ピエモンテ風)は客席に特製のワゴンを横付けして、ダイナミックに肉塊がサーブされる。
しかし、常に評判どうりの時間が過ごせるわけではなかった。
この日注文した「葡萄園風エスカルゴ」は味気無くシャバい上パサつき、自家製(マシン)パスタの「クレスティーネ」は、バーニャ・カオーダソースを添えているとはいえ、アンチョビは相当塩辛く、さらに「赤ピーマンのリゾット」は不可能な塩辛さ。
こちらのクレームに対し、「リゾットは誤って塩っぱくなってしまったが、パスタはバーニャ・カオーダソースなので塩っぱくて当然」と言いやがった。
「牛肉の赤ワイン煮込み」は普通。「ロースト肉の盛り合わせ」は一切れ豚肉の鮮度が劣悪で腐敗臭を伴っていた。 それを熟成香とは断じて言わない。
コースは35euro、単品だと50euro位の予算。
file No.02034: ポルタ・パラッツォ市場 (トリノ)(Mercato di Porta Palazzo Piazza della Repubblica)
トリノ・チェントロの北にある、レプブリカ広場で開かれる大きなメルカート(市場)ポルタ・パラッツォ。
メルカートの雰囲気はどこも同じ。活気があって庶民や外国人労働者が、安くて良いものを漁りにうじゃうじゃしてる。買う気が無いならひやかしは喜ばれない。
今じゃ日本で、特に我々のようなイタリア料理店関係者は、専門の業者から一通りのイタリア食材を買えるので、敢えて重荷を引きずって帰国するのがお徳かどうか悩む所。
しかし中には日本未入荷品や貴重品もあり、また、専門の輸入業者といえども、イタリア料理の知識や経験が豊富なわけではないので(業者さん失礼)、自分の目利きで価値ある品を買って帰りたいものだ。
file No.02035: リストランテ ラ・カパンニーナ (トリノ) (Ristorante La Capannina Via Donati, 1)
トリノ・チェントロの端で観光名所からは遠いけど、散歩のつもりでいくといいかも。
なかなかシブい内装とベテラン給仕人で、大人の正統派トラットリーアって感じ。好きなタイプ。
周囲は住宅地なので、客は地元人ばかり。 気取らない郷土料理を正しく美味しく適価で供してくれる。有力ガイドブックには出ていないので、変に荒らされずにマイペースで仕事できるのかもね。
客席で鍋からサーブしてくれるポルチーニのリゾット、細打ちパスタのタィヤリンもかなり美味い。
デザートもワゴンサービス。
郷土のデザート「ブネット」は、日本じゃ「ボネ」と誤って呼ばれているチョコレートのプディング。滑らかな舌触りでビターチョコレートの味わい美味し。
ワインリストもほどほどの品揃えで、料金は料理共にお手頃。
日本のイタリア料理界は特に有名店は目立ちたがりでミーハーなのばかり。こんな風にうちも質実剛健でいぶし銀な存在の店でありたいと願うオレ。