Abruzzo - アブルッツオ -
- ブドウ畑やオリーブ林の彼方にグラン・サッソ・ディタリア山脈が聳える
- マイエッラ国立公園内にあるデ・チェッコの工場
- 美しいアドリア海
- マイエッラ国立公園の標識
イタリア中部、アドリア海から2,500m超のグラン・サッソ・ディタリア山脈に沿って雄大に広がる大地が印象的なアブルッツォ州は、昔ながらののどかな風景が似合う、山海の幸にも恵まれた素朴な田舎です。州全体に古代遺跡や中世の建造物があるものの観光客は過剰でなく、素(す)のイタリアを楽しむには最適かもしれません。
マイエッラ国立自然公園内にある近代的な乾燥パスタ生産工場は、清らかな天然水を利用した有名なDe Cecco(デ・チェッコ/ディチェコは誤り)や、高級パスタメーカー、デル・ヴェルデの本拠地が並び、30km離れた山の向こうの隣村まで、ガソリンスタンドが一軒もないような寒村の雇用・経済を支えています。
紀元前から羊飼の歴史があり、現在人口の3分の1にあたる45万頭が飼育されています。当然州全体に仔羊の料理が有名で、外国のイタリア料理店で「アブルッツォ風~」とくれば多くは仔羊の料理を意味するほどです。
パスタはギターという意味の「キタッラ」、より細いものは「キタッリーナ」と呼ばれ、1~2mm厚ほどのシート状に伸ばしたパスタを、ギターの弦のように糸を張った道具「キタッラ」でカットしますが、現在その道具は民芸品的で実用されません。パスタの切断面は正方形で、形は日本そばにも似ています。厳格な決まりではありませんが、本来キタッラは卵を練りこんだ腰のある生地に仔羊など肉の煮込みソースをからめ、キタッリーナは卵の入らない生地に魚介やトマトのソースを合わせます。
沿岸部の料理は北から地続きのマルケ州に良く似ており、魚介のサラダやシチューの「ブローデット」があります。
何れの料理も時折辛く、トマトのソースをベースにした料理も多く見られます。
▼ 下記より気になるタイトルをクリックすると内容をご覧いただけます ▼
file No.14001: リストランテ ゼノービ(Ristorante Zenobi, Colonnella)
アブルッツォとマルケの州境付近、沿岸からわずかに内陸に入った場所にあるゼノービは、ワイン用葡萄を生産し、ワインも自家製する農家が家族で運営するリストランテ。
リストランテといってもそのスタイルに厳格な決まりがあるわけではないので、内容はいたって大衆的。
店は小高い丘の上にあり、斜面には葡萄とオリーブの畑が広がる。
近所には全くなにも無いというのに、あっちこっちから車を飛ばして集まる地元の人々で店内は満席。
地元の料理が供され、美味しい食堂。再訪を願う。
file No.14002: アグリトゥーリズモ カーザ・ビアンカ 1(Agriturismo Casa Bianca, Bucchianico (CH) 1 )
「もう引退したいョ」とボヤくジョヴァンニ爺さんが細々と営むアグリトゥーリズモ/カーザ・ビアンカ。
ホワイト・ハウスと言う意味だが、家が白いからそう呼んでいるだけで他意はない。
たくさんの動物と豊かな緑に囲まれた生活は素適だが、管理は他人が思うほど楽ではないらしい。
心優しい老夫婦が可愛がる2頭の人懐こいシェパードを筆頭に、2匹のネコ、2頭のチベット・ヤギ母子、中国の小さな黒豚1頭にウズラまで。みんな家族だそうだ。
母さんの手作り料理と父さんの止らない話を聞きながらの食事は、まるっきり民泊そのもの。
イタリアではパルマやボローニャあたりを称して「食い倒れの街」というような言い方をするが、料理上手な母さんはライバル心を燃やして、 「私だって行って来たよ。そりゃ確かに美味しかったけど、あんなにコッテりした味付けじゃ、太っちゃって身体に悪いよ。毎日は食べられないね!」 なんて言ってたけど、母さんのその太鼓のようなおなかは何食べて大きくなったの?
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file No.14003: アグリトゥーリズモ カーザ・ビアンカ 2(Agriturismo Casa Bianca, Bucchianico (CH) 2)
カーザ・ビアンカの裏山には野生のアスパラが自生している。
数は非常に少ないが野生の恵みはジョヴァンニのお楽しみだそう。
通りすがりの旅人だからか、秘密の場所を教えてくれた。
自生しているところを初めて見たが、一見バラの枝が伸びているよう。
アスパラの茎に付いている「はかま」と呼ばれる三角は成長するとトゲになることがわかった。
また、フランス料理でよく使われる野生アスパラと呼ばれるものは、実はアスパラではない。
本物の野生アスパラは、細いものの確かに畑のアスパラと同じ姿をしている。
これはイタリア中の山の中で採取でき、どこの地方でも春先には袋を片手に山に分け入る人々の姿を見かける。
生のままポリポリ食べても美味しいし、料理に使ってももちろん美味しい。
なんと、ジョヴァンニも知らなかった新たな株を小川の脇で我輩が発見。ほくそ笑むジョヴァ。
file No.14004: リストランテ付きアルベルゴ、ヴィッラ・マイエッラ(Villa Maiella, Guardiagrele)
キエーティ郊外、といってもクネクネの山道を来るので、結構離れた高原のリゾート地にあるヴィッラ・マイエッラは、リストランテが評判の小さなホテル。
エレガントな店内、洗練された郷土料理、食器や備品も一級品を使っているのに、食堂より僅かに高い程度の予算で食事ができるありがたーいリストランテ。
オーナーシェフのジュゼッペ・ティナーリはイタリア内外で開催される、イタリア料理の催し物に招待される実力派。
伝統の継承に加え新らたな試みも怠らない。
file No.14005: ラ・バレーナ (クジラ食堂)(La Balena)
アブルッツォは海もうまい。
ラ・バレーナは昔クジラが打ち揚げられた海岸に位置する海鮮食堂。
約束した時間に遅れていたので、大急ぎで車をとばし到着して中をのぞくと、まかないで食事中のかっぽう着姿のおばちゃんたちがいっせいにこっちを見て、「まだだよ」と素っ気ない返事。
仕方なく車に戻り、さっきまでの晴天が嘘のように荒れ狂いだした海を眺めながら、意気消沈して肌寒くなってきたことに気付く。
他にも数台の車が次々やって来ては追い返されて待機し、そろそろいい頃だろうよと入店。
料理は美味い。
生食の鮮魚、酢漬けの鰯、タコのサラダ、ムールの詰め物、キタッリーナ、そして最高だったシャコのスープとタッコーニ。
猫舌のイタリア人がグラグラ煮えくり返る土鍋をもってきたのでビックリ。
中には大きなシャコとタッコーニ(当て布の意)、う・う・うまい!