file No.20007:  リストランテ アル・ムリナッツォ(Ristorante Al Mulinazzo)

シチリア料理界No.1の呼び声高い、パレルモ郊外の有名な高級リストランテ。

イタリア人はシチリア人のことを「保守的・閉鎖的・恥かしがりや」などと評する。
確かに一部の地域を除いては、ナポリのようなあっけらかんとした初対面の付き合いはなく、東京的な冷ややかさを感じることがある。
料理店でも同じ事が言えるが、この店が他店と大きく違う事の1つに接客の質の高さを挙げる事ができる。一つ一つの仕事が丁寧なだけでなく、全てのスタッフは若く溌剌として、常に笑顔を忘れない。
このような快適さは料理店の好印象を著しく高めるだけでなく、顧客にとって好ましくないアクシデントなどマイナスの印象をも救う。
さらにサービス担当の従業員だけでなく、シェフ自らも積極的にテーブルをまわり顧客に一声話しかける姿勢は、半島(イタリア本土)の高級料理店では稀なことだ。

料理は何れも大変美味しい。
特に肉の火入れや食感、喉越し、舌ざわりなど、郷土料理専門の料理人には無いテクニックを駆使している。
シェフの感性で伝統の味をベースにインターナショナルな世界へと昇華させている。
伝統の消失、進化の過程、流行、己の内なる世界、時代と共に変化するのが自然であるなど、料理界には色々な料理哲学があり、ただ一つの正解というものはないが、それぞれの立場で主張し合える人々がバランス良く存在する事が好ましいように思う。皆が皆似たような流行を追いかけるのは、余りに単純すぎて面白くない。