file No.02006:  リストランテ アル・ソッリーゾ(Ristorante Al Sorriso)

北ピエモンテ、オルタ湖から南へ行った片田舎、ソリーゾにある超高級リストランテ「アル・ソッリーゾ」。
イタリア語で「微笑みで」と言う意味のこの店は、内外の権威あるガイドブックで高く評価され、世界中から来客があり常に満席の大繁盛店。
ゴージャスなテーブルセッティングに、洗練の極みを盛り付けた美しく美味しい料理。
地元ピエモンテの素晴らしいワインを中心に、有名銘柄を集めたワインリスト。

 


【フェガート・ドカのソテー】
「フェガート・ドカのソテー、黄桃添え レチョート・ディ・ソアーヴェのサルサ」。

【ペルニーチェ・ロッソのグリル】
「ペルニーチェ・ロッソのグリル モスカートのサルサ」。赤山ウズラという半飼育の野鳥。
野鳥といえば日本ではフランス料理(ジビエ)が有名だが、ピエモンテでの野獣料理(カッチャッジョーネ)の歴史は古い。
1200年ごろからピエモンテを中心に一国を治めていたサヴォイア家は、レジャーとしての大掛かりな狩猟の習慣があった。
今でもサヴォイア家ゆかりの城へ行けば、狩猟時の様子を描いた絵画や、料理素材として並べられた野獣を描いた絵画や彫刻など多数を見学できる。

【店内の様子】
豪華なテーブルセッティングだが、サロン自体はウナギの寝床で、テーブル間隔はこの手の超高級料理店にしては広くない。
サービスにあたるスタッフは客席の割に多く、この狭い廊下のようなダイニングを、連隊を組んでぞろぞろ行ったり来たり行ったり来たりと騒々しい。
新米のパン係は10分おきに「パンはいかがですか?」と鳩時計の鳩のように突然顔を出し、度々要らないと言っているにも関わらずこれまたうっとうしい。
注文したアルド・コンテルノの「バローロ・ブリッコ・ブッシア・ヴィーニャ・コロネッロ90年」(はっきり言って最高のワインだ)を注文したが、このヴィンテージにしては酸化熟成が早過ぎた。
酸化香が強く偉大な香りと味わいは感じ取れず、数十年経過し枯れたワインの味わい。
若いソムリエが「ワインは美味しいですか?」と聞いてきたので、「まずまずですね」と答えた。
すると彼は「これは最高のワイン、まずまずどころじゃありません」と言ってのけ、会話にならなかった。
その他の先輩らしき給仕人達も高慢で踏ん反り返っている。
威圧的で客を脅しているかのようにも見える。どんだけ偉い店なのか知っているつもりだが、我々の尊敬の度合いはまだまだ足りないらしい。

って、ちょっと待てよ!こちらは新興宗教の信者じゃない。楽しみに来たんだ。
わざわざ野を越え山を越え、霧のかかる暗い山道、車をとばしてやって来たんだ。料理は素晴らしく美味い。
インテリア、内装、装飾も美しくエレガントだ。しかしこの店で働く若者達は、出来上がったブランドの上で胡坐をかいている。
ワインの一件もそうだがブランド信仰が強いようだ。しかしブランドを築いたのはお前達ではない。ブランドを築いたオーナーのアンジェロ・ヴァラッザだけが、この店で唯一紳士的な接客をする。しかし経営者としての責任は決して小さなものではないと思う。
もう一度「アル・ソッリーゾ」の意味を、浅はかな若者達に教えるべきだろう。ピエモンテの料理業界では「アル・ソッリーゾにソッリーゾ(笑顔)は無い」という噂も聞いた。