file No.03001:  リストランテ ダルペスカトーレ(Ristorante Dal Pescatore)

ロンバルディア州のカンネート・スッ・ロリオにある小さな集落、ルナーテ村。この小さな村の名を世界に知らせたリストランテ、「ダル・ペスカトーレ」。
オーナーのサンティーニ夫妻は、夫のアントニオさんがサービスを、妻のナディアさんがシェフをしている。

店内はシックで落ち着きがあり、きらびやかではない上品なエレガントさ。スタッフは常に笑顔で親切な対応。高級料理店にしては珍しくフレンドリーで、気取ったところが無い・・・のだが、オーナーのアントニオ・サンティーニ氏は事務的で冷たい印象を拭えなかった。
「2年前にも来店しました。そのときとても良くして頂き嬉しかったので再訪しました。憶えてらっしゃいますか?」と挨拶を切り出すと、「Si,Si,憶えてますよ」と笑顔無くこたえ、さっと踵を返した。
何か失礼なことでも言っただろうか?あまりの淡泊さに唖然。確かに前回訪れた時、我々の接客を担当したのはスタッフ達で、直接サンティーニ氏の接客は受けていない。それでも帰り際には玄関まで見送りに来て、記念にと我々にメニューをプレゼントし、調理場から呼び出したナディアさんと共に記念写真の機会を自ら申し出てくれた彼と同じ人物とは到底思えなかった。
今回何度か彼の仕事に接したが、彼は始終しかめっ面で何を聞いても素っ気ない返事に徹し、できるだけ答えたくないといった風で会話を断絶していた。この晩たった3組の他のテーブルでも様子は同じだった。救いは彼の右腕の若いアラブ系外国人のカメリエーレ。常に笑顔を絶やさず真摯な姿勢で職務にあたり、この時点で既に8年間をダル・ペスカトーレで過ごしている。前回も今回も彼の親身な接客により楽しい時間を過ごしたのは事実だが、今回はサンティーニ氏の対応に悲しい瞬間も経験した。

料理は地元の料理を品良くアレンジしているが、飾り立ててはいない。特にこの地方一帯に伝わる素晴らしい詰め物入り手作りパスタの伝統は、ダル・ペスカトーレの評判を高めた逸品ばかりだ。料金は決して安くは無いが、内容を考えれば適正といえるだろう。でも普通のイタリア人が出入するような店ではない。